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借金の消滅時効とは
借金は、通常5年もしくは10年経過することにより時効消滅します。なぜ消滅するのかや、消滅するのに必要なことを解説していきます。以下、文中にて掲載している法律は、電子政府の総合窓口e-Govを参照しています。
消滅時効に関する法律の規定
借金の消滅時効に関する法律には、下記の2つの規定があります。商売のためなのか、個人の借金なのかで時効消滅期間が異なります。借主の商売のための借金か、貸主が商人である場合、商法第522条の規定により、時効は5年になります。
貸主が商人以外かつ借主の借金の目的が商売以外である場合は、民法167条1項の規定により、時効は10年です。
商人に含まれるもの
一般的な会社や商店の他、下記の法人は商人に含まれます。
- 銀行
- 保証協会の求償権
- 法人であるサラ金・貸金業者
商人に含まれないもの
このような団体は商人には含まれません。
- 信用金庫
- 住宅金融支援機構(旧住宅金融公庫)
- 個人であるサラ金・貸金業者
消滅時効の進行
消滅時効は、弁済期が到達したときに進行が始まります。例えば毎月10日払いの契約をしている支払いの場合、3月10日には支払っても4月10日には支払っていないような場合、4月10日が消滅時効のスタート時期になります。
消滅時効の中断
下記のような場合に消滅時効は中断し、ゼロに戻ります。
- 裁判上の請求
- 差押え、仮差押え、仮処分
- 承認(債務者が債務の存在を認めること)
例えば借金を一部返済することも承認にあたります。
消滅時効が到達した後
消滅時効が到達した後、自動的に借金がなくなるわけではありません。借金をなくすためには、『時効援用』の手続きが必要です。
時効援用とは
時効援用とは、消滅時効の時期が到達したことと、その権利を行使することを相手に伝えることをいいます。
通常は、消滅時効を援用するという内容を、配達証明付きの内容証明郵便で郵送することで通知を行います。代理人に依頼する場合は、弁護士
- 司法書士
- 行政書士などが対応可能です。
時効援用ができる人
時効援用ができるのは、時効援用することによって利益を受けることができる人です。借金をした本人はもちろんですが、連帯保証人も主債務の時効援用を主張することができます。
貸主から連帯保証人に対してだけ借金返済の訴訟があったような場合、保証債務の時効期間だけが10年に延長(民法174条2項)されますが、主債務は5年のままです。主債務の時効である5年が経過すると、時効援用が可能になります。
消滅時効が到達した後の注意点
消滅時効が到達し、時効が完成した後に借金返済をすると、消滅時効を主張することができなくなってしまう場合もあります。もし消滅時効の完成をさせたいと考えている場合には注意が必要です。
業者の中には、1,000円程度など、あえて少額の返済のみをさせることで時効を中断させようとすることもあるようです。